秋田大学医学部附属病院 初期臨床研修医2年目
(たすき掛け先:市立横手病院)
佐藤 裕貴

【はじめに】

ハワイ大学での研修は自分にとって良い刺激になりました。アメリカと日本の医療の違い、救急医療、小児救急、チーム医療について多く学びました。また日本全国の研修医とコミュニケーションをとり、かなり貴重な経験をしました。

【6月27日(1日目)】

初めての海外研修で楽しみ半面、緊張もありました。綺麗なシミュレーションセンターの中でDr.Bergが迎えてくれました。笑顔が素敵な優しいイメージの先生でした。午前中は全国の研修医の先生同士が英語で自己紹介を行いました。拙い英語ではあったが、Dr.Bergに一生懸命自己紹介をしました。 次にDr.Bergによる講義です。シミュレーション教育の重要性について話していただきました。医学生、研修医がシミュレーショントレーニングを行う事で明確な技術向上がみられたとのことです。しかしコストはかかり大変な事も事実です。次はDr.Nogiの講義です。Dr.Nogiは日本人で話が上手で面白い、人を惹きつける魅力的な先生でした。Dr.Nogiの講義では、米国と日本の医療の違いについて話されていました。米国研修よりも日本研修が良い点は救急初期対応を学べる、基本的手技を多く行っているとのことでした。日本が米国から学ぶことは研修内容の標準化(EBM)、プレゼンテーションの機会の充実化、Chief resident制度でした。

午後はOne night on callのシミュレーション研修が始まりました。診療を行う上でA(Airway),B(Breathing),C(Circulation),Safty net(O2,モニター,iv,help)をまず考えることが重要です。シミュレーションを行いました。症例はstable Af、VT cardiopulmonary Arrest、Transfusion reaction、ACSでした。症例は基本的なものでしたが、ABC、Safty netを意識して診療することで違う症例でも初期診療の考え方は同じで大変勉強になりました。

【6月28日(2日目)】

2日目は小児救急のシミュレーション研修でした。小児救急はほとんど経験したことが無く、非常に不安でした。小児救急ではまずsick or not sickと分けてAppearance、Breathing、Colorを確認。シミュレーション研修ではチームでロールプレイを行い鑑別診断、最終診断を討論しました。症例は熱性けいれん、虐待、気管異物、アナフィラキシーと基礎的なものであったが実際に診療を行い、診断する事が非常に難しいものであることが分かりました。

午後はCrisis Team Training。研修医同士で役割分担し、録画されながらの本番シミュレーション。自分は1回目でリーダーを担当した。今回の研修で学んだ事を出せるように気合が入りました。しかし始まると仲間への指示出し、全体の把握等、足りないところや反省点がたくさんありました。1症例ごとにビデオで確認し、Dr.Bergとfeed backを行いました。客観視すると自分の戸惑いの様子がよくわかりました。実際に治療を行うのも大変遅れました。その後もビデオで復習し症例を皆で経験しました。最後の症例では全員が適切な判断、治療、そしてチームワークが出来ていてDr.Bergも驚いていました。

【6月29日(3日目)】

3日目はShriners Hospitals for Childrenへ見学に行きました。小児科のみの病院は初めてで、大変興味がありました。
病院の1階の受付は水族館をイメージしているような空間でした。診察室、レントゲン室、リハビリ室、装具室等小児用に工夫されていました。
今度機会があれば、病棟や実際の診療等も見学したいと海外医療にさらに興味を持てました。

【研修を終えて】

今回3日間の貴重な体験をさせてもらいました。シミュレーション研修では教科書で勉強したことや、実際に経験した症例でもありました。しかし、自分で考えて治療を行うことの難しさ、チーム医療を行う上でのコミュニケーションの難しさ。そして自分の医学の知識不足が露呈されました。日本に帰ってからの課題がたくさんできました。今回の経験を今後の研修に生かしこれからも精進していきたいと思います。海外研修の機会を与えていただき、ありがとうございました。

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●2017年ハワイ研修”SimPLE” 研修報告①はコチラ

●2017年ハワイ研修”SimPLE” 研修報告③はコチラ

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