「FunSimJ Onlineに参加して。」

秋田赤十字病院麻酔科 関川綾乃

     臨床医の私にとっては、初めて利用するZoomでの、初めてのオンラインセミナーでした。対面でのセミナー参加とはまた違った緊張感がありましたが、幸いハード面でのトラブルもなく、レクチャーでもグループワークでもまったく問題なく3日間のコースを修了することができました。

まず、私が今回FunSimJ Onlineに参加しようと思った理由について述べさせていただきます。私はこれまでにACLSやNCPR、またエコーガイド下中心静脈穿刺など様々なシュミレーショントレーニングに参加してきました。麻酔科専門医試験でもシュミレーターによる実技試験を受けました。日本麻酔科学会・臨床麻酔学会で、DAMやエコーガイド下末梢神経ブロックなどのハンズオンセミナーに参加したこともあります。もともとシュミレーション教育に興味があったこと、またこれらのトレーニングに参加した後の臨床現場では自分の臨床能力が上がったという実感が得られたこと、そして何より楽しかったという経験が、シュミレーション教育へのさらなる興味につながってきました。同時に、日常診療で初期研修医を指導する立場となった近年、手術室で気管挿管などの診療行為を行う初期研修医が、適切なトレーニングを全く受けずに患者さんと対面する現実に驚きと恐怖を覚えました。そこで、私の専門領域である麻酔分野に関する何かしらのシュミレーション教育を、初期研修医を対象に提供できれば、より良い麻酔科研修になるのではないかと考えました。その基盤づくりのために、FunSimJに参加しました。

今回のFunSimJ Onlineでは多職種の先生方と交流が持てたこと、特にCOVID-19流行期におけるシュミレーション教育の在り方について、多くの意見交換ができたことはとても有意義でした。まずは既存の教育を再考する。本当に必要なのか?昔からやっているからやっているのか?一般企業と共に医療教育用VRを開発されている東京医大の阿部先生の講義では、「コロナだから仕方ない・できない」ではなく、「こういう状況でも教育は必要。できることをなるべくリアリティのある形で学生に提供する」というような「教育への熱意」を感じました。シュミレーションはあくまで「道具」にすぎません。それをどう生かし、使い、教えるか?すべては指導者の計画次第だと感じました。また、ディブリーフィングの重要性に気づきました。シナリオトレーニングの約3倍の時間をかけて振り返りをする。指導者が話すのではなく、参加者が考える時間=ディブリーフィング。そうすることで、参加者の理解度を知ることができます。自分がシュミレーション教育を構築する際には、意義のあるディブリーフィングに参加者を導くことができるように、自分にはさらなるトレーニングが必要であると感じました。

今後の展望としては上述したように、当院における初期研修医を対象とした麻酔分野に関するシュミレーション教育を構築していこうと思います。初期研修医が安心して気管挿管や動脈穿刺などの手技を習得できるように、まずはシュミレーターを使用し指導すること。また患者急変時のシナリオを使用したシュミレーショントレーニングを麻酔科研修に組み込むことで、麻酔科研修の質を上げ、その後の救急外来での業務や病棟急変への対応の際にも、落ち着いて適切な判断ができる初期研修医を育てることに貢献できると考えています。シュミレーション教育についてもっと学びたいので、i SimJコースにも参加したいです。

■ 研修報告はこちら ■

FunSimJ② https://akitamd-support.com/report/20201017-3/

FunSimJ③ https://akitamd-support.com/report/20201017-4/

FunSimJ④ https://akitamd-support.com/report/20201017-5/