秋田厚生医療センター
2年目初期研修医 伊保内 綾乃

平成29年3月31日から4月1日にフロリダで開催されたWomen in Surgeryに参加させていただいたので報告を致します。

まず、今回の会の参加にあたり、今回の学会参加のきっかけをくださった南谷教授、学会中大変お世話になりました、東京女子医科大学の冨澤先生、蓮沼先生、一緒に参加した先生方、あきた医師総合支援センターの方々には本当に感謝しています。この場を借りてお礼を申し上げます。

はじめにこの会を知ったのは去年の夏ころの乳腺外科の勉強会の時でした。自分の英語力の無さには自信がありました(?)が、このような機会と巡り合えるのは今後ないかもしれないと思い、自分を試す意味でも参加を希望しました。

今回は今までよりも1日少ない期間の開催とのことでした。3月31日の15時から学会がスタート、初日は研修医、学生のワークショップに参加しました。内容はアメリカの学生、レジデントに向けた面接や履歴書の書き方、自己PRの仕方などでした。良い例と悪い例のロールプレイがあり、笑いが起こる場面もあり、和やかな雰囲気で会は進みました。終了後は冨澤先生、蓮沼先生とウェルカムパーティに出席し、主催者の方々とお話しする機会を設けてくださいました。有名な先生方に挨拶をする場面では、英語の力が乏しく、単語で何とか受け答えをしていました。先生方のように会話ができれば、もっと楽しく参加できるのにと悔しい思いが残りました。

4月1日は朝から夕方まで1日中スケジュールが組まれていて盛りだくさんな日でした。

まずは朝食を食べながらのセッションを1つ受けたあとに、学会がスタートしました。テーマがいくつか分かれており、外科の最新のテクノロジーの話から、日々の食事の話や恋愛の話などありとあらゆるテーマのお話があり、日本の学会ではあまり目にすることのないような内容でした。女性外科医としてのキャリア形成や仕事と家庭とのバランス、収入など、しっかりと考えていました。昼食の時間は15分毎に席を移動しながら、色々な参加者と交流するというものでした。私は自己紹介をするのが精いっぱいでしたが、他の参加者がどういう目的でこの会に参加したかや、専門医になるまでの日本との違いなど様々な話を聞くことができました。

学会自体は2日間で終了しましたが、4月2日にはM.D. Anderson Cancer CenterのBreast surgeon oncologistであるChantal Reyna先生と朝食を食べながらお話をするという機会を設けていただきました。1人1個質問を考えてくるようにとのことでしたが、先生はとても気さくな方で、我々のどんな拙い質問も聞き取ってくれるので、全員から多くの質問がでて、良いディスカッションができたように思いました。私にとっては乳腺外科という同じ領域の大先輩であり、3日目のこの企画が一番有意義でした。私が質問した中でいくつか興味深いものを紹介すると、まず、Breast surgeon oncologistはBreast surgeryとは何が違うのかということを質問しました。アメリカでは診断をする医者、手術をする医者、化学療法をする医者、放射線治療をする医者はそれぞれ別の医者であり、Breast surgeon oncologistとはつまり、乳房腫瘍の手術をする医師ということになります。日本では、乳腺外科医が診断から手術、術後の化学療法や放射線治療まで行っているので、大きな違いでした。先生の病院では、乳房部分切除術では1泊、全摘術でも2泊しか入院しないとのことでした。ドレーンは入れたままにして帰るのが一般的とのことで、驚きました。他にも日本では常識と思っていたことが、アメリカでは違う方法が一般的であることも多く、視野が広がったように思います。

今回の3日間の経験は、どれも貴重なものでした。アメリカの学生やレジデントは、どの場面でも積極的に質問やディスカッションをしていました。今まで医学部受験から、医学部生、研修医と、あまり自分で考えなくとも大きなレールから外れさえしなければ医者になれた自分とは違い、積極的に自分の道を切り開いていこうとするアメリカの外科医、学生、レジデントの姿は大変刺激になりました。今後、女性外科医として自分のキャリア形成を考えていく際に、アメリカと日本で制度の差はありますが、彼らのようにしっかり考えていきたいと思いました。そしてこの学会を経て、英語の勉強へのモチベーションが上がり、いつか国際学会に…などと大きな夢もできました。今回の学会では自分の言いたいことが言えないもどかしい場面がいくつもありました。彼らともっと話し合うことができれば、自分の知見をより一層広げられると思います。

次回も秋田から数名この会に参加できることと思いますが、私が行けたのだからきっと皆さんは大丈夫だと思います。もし参加のチャンスが転がってきたら絶対に行くべきです。このような機会を与えてくださった皆様に心から感謝いたします。


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