第44回 FunSimJ 参加報告
秋田大学医学部附属病院 看護部 一般外来
佐藤 祐子
日時:令和7年12月6日(9時~17時)~7日(8時半~16時)
場所:名古屋大学医学部附属病院 EXシミュレーションセンター内
名古屋大学医学部附属病院EXシミュレーションセンターを会場にハワイ大学医学部の30年以上の歴史あるFunSimシミュレーション教育 日本版初心者入門コースに参加させて頂いた。
オリエンテーション時に名古屋大学医学部附属病院EXシミュレーションセンターを見学した。バーチャル機能を搭載したセンターの構造に驚き、緊張も増した。実際にシミュレーションの説明、各企業との共同開発をしている工程、各分野(手術室の器具など)のシミュレーターが配置され、医療者や学生がとても恵まれた環境下で教育やOSCEを受講できている事が覗えた。また、センター長からは手術時間の短縮や合併症のリスク低減・入院期間の短縮など医療安全に繋がっているとの説明があった。医療現場では医療事故を防ぐために効果的なシミュレーション教育・企画運営が目的である。
講義内容は倫理に基づき、効果的な学習をもたらすシミュレーション教育(研修計画作成からファシリテーター技法・デブリーフィング技法『GAS法=Gather・Analyze・Summarize』)について学び、実践的なグループセッション形式で行われた。また、日本の医学教育の歴史と改訂についての講義では、各医療系分野においてはシミュレーション教育が義務化されているが、運営をしている医療者はシミュレーション教育を受けていない世代が運営している状況で難渋している声が各参加者から挙がった。このセミナー参加者は医師・看護師・薬剤師・放射線診療技師・鍼灸師・シミュレーションセンターの運営補助者(医療従事者ではない方)等様々な職種が参加した。このコースは入門コースの為、①シナリオデザイン、②評価用のチェックリストを作成、③作成後にグループでシミュレーション訓練、④αテストを行い、改善点がないか確認した。互いのグループで企画したシミュレーション訓練を実践した。訓練中のファシリテーターはあくまでも回答を教えるのではなく、いかに受講生が気づくように促し役に徹する。その後、デブリーフィングが行われた。デブリーフィングはチェックリストに沿い、学習者自身が効果的にディスカッション形式でフェィードバックをした。また、ファシリテーターの統括役はGAS法を用いて、学習者が何を考え、行動したかを積極的に引き出していく。偏りがなく学習参加出来るよう、一人一人から引き出していった。何を学び、次に繋げるためのまとめを行った。その後、企画したメンバー間で⑤βテストを行い、シナリオの妥当性を確認し、運営法が的確であったか評価し、一連のグループセッションを終えた。
2日間の講義で、シミュレーション訓練時は対象者を明確にすることやシナリオデザイン後は自らが訓練者となり、αテストを行う。訓練前のオリエンテーション時(場所の設定や配置の位置など)は的確に伝える事と訓練中やデブリーフィング中のタイムキーパーは設定時間管理において重要な役目である。デブリーフィング技法としてGAS法を用いて、円状に着席をし、落ち着いて学習者が意見交換できる事や楽しみながらシミュレーションができる環境や雰囲気作りも大切であると実感した。研修を終え、医療事故を未然に回避できるスキルを身につける事がシミュレーション教育の最大の目的であり、気が引き締まる受講となった。
今回、このような素晴らしい研修機会に参加させて頂き、あきた医師総合支援センター長谷川教授及び看護部・部署スタッフに感謝いたします。次年度はiSIM-Jに参加出来るよう自己のスキルアップを目指したい。今後、スタッフや学生へ還元できるよう努めていきたい。
