FunSimJ研修報告書

秋田大学医学部附属病院
第二病棟3階 安田彩乃

私は昨年度より自部署のシュミレーション研修に関わらせていただくようになり、今年度も担当となりました。しかしながらそもそもシュミレーション教育とはどういった構成なのか等の知識が乏しく、体系的な教育を受けたこともないため、実際は現場で先輩の研修の進行を見よう見まねで実施しているような現状でした。今回FunSimJというシュミレーション研修の組み立て方や基礎を学ぶことの出来る研修があるということを知り、今の自分に必要な知識が得られるのではないかと感じ今回の研修を受講する運びとなりました。

今回の研修は沖縄で実施するということもあり、かなり遠方であるため不安もありましたが事前の情報で日本各地から主に医師や看護師、看護教員など様々な職種の皆さんが参加されるということ、過去最多の参加者数とのことであり、とても楽しみに受講しました。研修は2日間に渡り、シュミレーション研修の基本を学ぶ構成となっており、研修の目的としては「シュミレーション教育の基本を学ぶ」、「シナリオシュミレーションを体験する~学習者として、指導者として~」、「とにかく楽しもう!」の3つが掲げられていました。シュミレーション研修とは主にオリエンテーション、シナリオ、デブリーフィングで構成されています。研修では4グループに分かれ、最初は実際に与えられたシナリオに沿ってシュミレーションを学習者として学び、その後は指導者側として実際にシナリオを構成し他者に実践するというプログラムを行いました。

研修で学んだことの1つは、シナリオが成功したかどうかは学習者のパフォーマンスの如何ではなく、あくまでも指導者側が見たいものを見れたのか、つまり「シナリオの目的・目標が達成されたのかどうか」だという視点です。シュミレーション研修を行う目的は様々ではありますが、基本的にはシュミレーション研修とは安全な環境下で何度も実施することが可能な点が利点です。緊張下で実践する研修にはかなりのプレッシャーが伴いますが、学習者が研修の中で上手く出来たか出来ないかではなく、あくまでもその研修で求められている目的や目標が達成されたのかが重要であると学びました。これは看護学生の実習指導の研修でも言われていたことであり、やはり学習をする上では研修目的が重要であり、そのためにはシナリオの最初に学習者と指導者、そのシナリオの評価者も全ての人がそのシナリオで何を学ぶのかを共有していなければ効果的なシュミレーション研修とならないことを学びました。実際に他グループのシュミレーションシナリオの評価者を観察していると、目的や目標をわざと提示されないままそのシナリオが進み、最後にそのシナリオの評価を行った人たちは、技術に焦点を当てる人とチームワークに焦点を当てる人とで視点の異なったバラバラの評価を付けるという結果となりました。いかに最初に目的と目標の共有が大事かがわかる事例であったと感じました。

2つ目に学んだことは、実際のシナリオの構成者側に回ると、シナリオのオリエンテーション、ファシリテーション、デブリーフィングといった全ての構成を事前に決め実践することはとても難しいということです。効果的な研修の構成には目的や目標や評価基準が曖昧であると評価が困難になるため、より具体的な設定を行う必要があります。オリエンテーションの最初の段階でいかに学習者に研修の目的を伝えるかがとても重要となります。また、デブリーフィングですが、その目的は学習者にあくまでセルフで考えさせ、行動の理由について問いかけること、研修を終えて最後に学習者が「この研修を通して何が出来ていて何が出来ていなかったのかを理解してもらうこと」がとても大事だと学びました。しかしながら指導者側が答えを明示するのではなく学習者の考えを引き出せるよう誘導することは簡単に実践出来ることではありません。指導者として構成する際にはシナリオを事前に良く練る必要があり、学習者に対しては教えすぎず、かといって傍観するのではなく、学習者が上手に行動を起こせるよう引き出す技術が必要であり、これに関しては何度も練習していく必要があると感じました。

その他にもシュミレーションに関する学びは書ききれないほど多岐に渡りましたが、今回学んだことを一つ一つもう一度振り返りながら、今後の研修に効果的に活かしていけるよう今後も訓練を重ねていきたいと思います。