ISIM-J研修報告書
秋田大学医学部附属病院 看護部
第二病棟3階 看護師 小松広明
2020年に自身の成長と教育方法について学びを深めたいと考えFunSim-J研修を受講し、現在自部署の教育担当や院内のフィジカルアセスメント研修の担当として、新人や異動者への教育を担っている。自部署や院内研修の担当を実施するにあたり、シミュレーターを使用した研修や、模擬患者を使った研修を行っており、シミュレーション教育の知識と技術の向上を図りたいと考え、ISIM-J研修の受講を希望した。
今年度のISIM-J研修は令和6年7月27日、28日の2日間にわたり、東京慈恵会医科大学シミュレーション室を会場として開催された。参加者は医師や看護師、看護学校教員など多岐にわたり、全20名の受講者で実施された。ISIM-Jコースでは、1日目にはシミュレーターを使用したシナリオをグループメンバーとともに作成し、実際に各グループで作成したシナリオをプレゼンテーションし、終了後にアセスメントとディブリーフィングを行った。2日目はグループメンバーとチームトレーニングシナリオを考え、プレゼンテーションしディブリーフィングを行った。2日目のシナリオではシミュレーターと模擬患者を取り入れたハイブリットシミュレーションデザインを作成し実践した。シナリオを作成するにあたり、明確な達成目標を立てることが最も重要であると学ぶことができた。学習者が研修の目標をしっかりと理解できていなければ、研修の成果を得ることができず、無意味な研修となってしまうため、そのような研修とならないためにもSMARTの原則を常に念頭に置きシナリオを作成していく必要があると学んだ。また講師からGASディブリーフィングモデルを用いたディブリーフィング方法について指導して頂き、振り返りの中で学習者から研修評価を引き出す技術や目標達成に導くディブリーフィングのコツを学ぶことができた。
自部署では精神科に特化した内容として、自傷行為のシミュレーション研修を毎年実施しているが、昨年度から急変時対応のシミュレーション研修も計画し、模擬患者を立て、より実践に近い形でのシナリオを作成し実施していた。急変時対応シミュレーション研修後、指導者メンバー内での振り返りで評価方法とディブリーフィングの内容について課題があがっており、今回ISIM-J研修を受講することで、この課題の解決策としてシナリオ作成後にαテストとβテストを実施し、シナリオを何度もブラッシュアップすることが大切であることを学んだ。講師であるピッツバーグのPaul先生より、作成したシナリオは我が子のように可愛いが、思いが強いほど修正することに抵抗を持ってしまいがちだが、指導者は常に俯瞰的に考え、明確な目標と目的を設定することが大切であるとの助言を頂いた。
FunSim-J研修受講時は新型コロナウイルス拡大によりオンラインの研修となったが、今回のISIM-J研修では対面での研修を受講でき、受講者や講師の方々との実践の中で自身のシミュレーション教育において不足していた部分を明確にすることができた。本研修での学びを自部署の研修のみならず、院内の研修にも活かし、自施設へ還元していきたいと考える。