FunSimJ 参加報告書
秋田大学医学部附属病院
第一病棟8階 湯川志桜里
この度、東京慈恵会医科大学病院シミュレーションセンターで開催された、第42回FunSimJを受講させて頂きました。令和6年10月19日、20日の2日間に渡るセミナーで全国各地から医師や看護師が集まり、合計9名の受講者が参加していました。その中でシミュレーション教育とは何かといった概要からシナリオ作成と実践、学習者とのデブリーフィング等を講義やグループワークを通して学ぶセミナーでした。
これまで院内のシミュレーション教育に指導者として携わるに当たって、双方向性の講義にするにはどうしたら良いか、一方的に教える教育ではなく、学習者中心の教育とするにはどうしたら良いのか悩みながら活動してきました。自分自身は指導者として知識や正解を教えたがる、話したがる傾向にあり、学習者からの考えを引き出すことに苦手意識を抱いていました。今回のセミナーではシミュレーション後のデブリーフィング手法であるGAS法について学習しました。シミュレーションの中で見えている事象がどのような学習者の思考過程によってもたらされているか、対話の中で学習者の考えを集めて、分析し、次に活かすためにまとめる手法です。指導者として知識を教えるのでは無く、「なぜ学習者はそのように考えて行動したのか」をシミュレーション中に観察された事象をもとに、学習者と一緒に考え、気付きを与えることが指導者に求められると学びました。同時にデブリーフィングの時間管理や学習者の行動に対する細やかな観察、適切な質問を投げかけるといった難しさにも直面し、練習を重ねて行く必要があると感じました。
またセミナーの中でシナリオをグループで1つ作成し、実践、デブリーフィングする活動を行いました。シナリオ作成や実践において、学習対象者は誰なのか明確に定めること、それに適した目的や目標、場面設定を行うこと、指導者が意図しない方向へシナリオが進んでしまった時の対応等にも難しさを感じました。具体的にはシナリオを作成する中で、医師と看護師では「初期対応」という言葉1つでも、どこまでを初期対応とするのか認識の違いがあったり、症例に対してどこまでの忠実性を求めるのかについても違いがあったりと、職種や個人によって認識のズレがあることを学びました。シミュレーション教育を1から作ってみた経験がこれまでに無く指導することに目を向けがちでしたが、教育する前の入念な打ち合わせや準備も非常に大切だと気付きました。
今回のセミナーを通して、他の病院や海外ではどのようなシミュレーション教育を行っているか、その有用性についても併せて学ぶことができました。効果的なシミュレーション教育を行うためには指導者側の教育も大切であるため、今後も自己研鑽を積んで行きたいと思います。最後になりましたが、このような研修参加の機会を与えて下さった、あきた医師総合支援センターの方々をはじめ、関係者の皆様へ深く御礼申し上げます。今回のセミナーで学んだことを、今後の教育に役立てていきたいと思います。