ハワイ大学SimTikiシミュレーションセンター日本人向けトレーニングコース“SimPLE”
由利組合総合病院
鈴木絢理
この度,ハワイで行われたSimTikiシミュレーションセンターの研修に参加してきました。今回の研修に参加しようと思ったのには大きく2つあります。慣れない英語に囲まれた環境下での研修を経ることで頑張ったという自信が欲しかったのと,純粋にハワイへ行ってみたかったからです。
しかし,トレーニングは全て英語で行われ日本語の通訳もいません,と事前に言われ,研修の日が近づくにつれて不安と緊張が増してきました。実際始まってみると私たちが分からなそうにしていると簡単な英語で話してくれたり,難しそうにしていると日本語での話し合いの時間も設けてくれました。もし英語が不安で参加するのを悩んでいる方がいたら,ぜひ参加してほしいです。
研修では気道確保困難例への対処法,中心静脈カテーテル留置術,腹腔鏡トレーニングなどを行いました。また,実際の医療現場に近い環境下で,患者の急変に対応する「Night on Call Case Scenarios/Crisis Team Training」ではいくつかの症例にチームで挑みました。いずれの症例もデブリーフィングの時間で議論し問題点を挙げそれぞれの学びとしました。どの患者においてもまず「ABC(気道・呼吸・循環)を評価し,stable/unstableを判断し必要あればHOMI(人を呼ぶ・酸素・モニター・ルート確保)を行う」,これを何度も指導していただきました。それと同時に突如の変化で混乱しやすい状況だからこそ順序立てて診療していくことの大切さを実感しました。
トレーニングだけでなく,講義も受けることができました。中でも印象に残っているのは,アメリカとハワイの医療教育制度の違いです。アメリカではまず4年間大学で学び,その後の4年間は医学部で各病院での研修・実習をし,そしてレジデンシーとして働いた後それぞれの専門に進むそうです。立ち位置としては日本の研修医とアメリカのレジデンシーが同じとのことですが,実際には日本の研修医のレベルはアメリカの医学生と同じと聞き驚きました。というのも,アメリカではレジデンシー以降,医師何年目で上下関係はなく,みな等しく一人前でレベルに差がないとされているとのことです。そのため,学生時代から夜遅くまで実習し必死に勉強していると聞きました。この姿勢は尊敬し,今からでも真似していかなくてはならないと思いました。
研修以外の時間ももちろん充実しており,ハワイアンなフードをたくさん食べたり,ワイキキ・アラモアナでショッピングしたり,ハッピーアワーで美味しいお肉を食べたり,ハワイを存分に満喫しました。
今回の研修では私一人では到底経験できない貴重な体験をさせていただきました。コース主催のあきた医師総合支援センターの皆様,研修にあたって支援してくださった研修病院の皆様,関係者の皆様へ心から感謝いたします。この研修に参加させていたたき,本当にありがとうございました。