令和6年度シミュレーション教育推進事業 シミュレーション基盤型教育セミナー「FunSimJ」研修報告④(松下弘雄)

活動報告
終了
2024.05.25

研修報告書

秋田赤十字病院 松下弘雄

令和6年5月25、26日に琉球大学のおきなわクリニカルシミュレーションセンターで開催されたシミュレーション基盤型教育セミナー「Fun Sim J」に参加してきました。同セミナーはシミュレーション教育の基本を学ぶことを目的とし,学習者と指導者と両方の立場でシナリオシミュレーションを体験しながら指導者を養成するという研修でした。日本全国から28名の受講者が参加していました。

研修では受講生28名が4つのグループに分かれ、グループごとに活動しました。まずシミュレーション教育の意義の講義があり、その後実際のシミュレーション教育を体験しました。次にその体験を元に、クループごとにシミュレーション教育のシナリオを作成し、そのシナリオは本当にうまくいくか実際に施行してみるという作業を行いました。

今回の研修で、まずシミュレーションは効果的な教育手法であるというエビデンスがあり、その利点として聞いたり見たりした知識は忘れやすいが、体験したことは忘れないということを再認識しました。またシミュレーション教育を施行する際に、はじめにシミュレータありきでなく、まず目的を定め、その目的を達するために効果的なシミュレータは何かを考えることが重要で、シミュレーション教育には高価なシミュレータが必ずしも必須でないということを理解しました。さらに今回実際に指導者としてシナリオを作り、それが効果的に機能するかを実習しましたが、作成者側の思惑通りにはいかず、シナリオ作成の難しさを認識しました。最後に学習者に学習目標を達成させる方法として一方的に知識を与えるのではなく、学習者自身で自ら考えながら習得する、指導者はそのように導くという方法を学びました。指導者は正しい答えを与えるのではなく、正しい質問を与えることよって考えさせるとの手法は今まで自分の中にはなかった発想でした。

上記以外にも多くのことを学んだ2日間でした。医学教育には実習は不可欠ですが、昨今のコロナ禍の影響や倫理的な問題で実際のヒトを用いての手技の習得が困難になってきた中で、エビデンスがあるシミュレーション教育はますます重要になってくると思います。今回の研修でもシミュレーション教育の問題点としてシミュレーション教育の有効性を理解し、効果的に指導できる人材が不足しているということが挙げられました。今回、本セミナーの参加させていただき、シミュレーション教育の必要性は十分に理解できました。とはいえすぐに効果的な指導ができるわけではないですが、今回学んだことを医療現場に還元していきたいと思います。当院は一市中病院であり、大学等の教育機関と比較するといろいろ財政的・人材的にも制限がありますが、当院で可能なシミュレーション教育を行い、少しでも秋田県の医療に貢献できればと思います。

この度はこのような機会をいただきありがとうございました。

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