開催日時:令和5年11月4日~5日
開催場所:東京慈恵会医科大学病院シミュレーションセンター

秋田大学医学部附属病院 / 総合臨床教育研修センター
糖尿病内分泌内科 加藤 俊祐

2023/11/4-5 に東京慈恵医大で行われた iSIM-J に参加させていただいた。
今回参加者は12人(医師、看護師、看護教員)で2グループという構成であった。2日間を通して講義とグループワークが繰り返され、グループワークでは、チームで「個人」のシナリオと「チーム」のシナリオを1つずつ作成し、それぞれにαテスト、βテストを行い、デブリーフィングを受けるというものであった。

1日目、個人のシナリオでは私の提案した「低血糖の診断と対応」というシナリオをグループで採用いただいた(これは個人的には嬉しかった)。
一見うまく進んだように見えたが、デブリーフィングのデブリーフィングで多くの課題が見つかった。

2日目、チームのシナリオでは「救急車が到着する前にチームで初療の準備をする」というシナリオを作成した。
これも一見うまく進んだようにみえたが、デブリーフィングのデブリーフィングでさらに多くの課題が見つかった。

特に私が重要と感じた学びは、以下の3点である。
「最も重要なのは目標を明確に設定すること、学習者が目標を達成したかどうかを考えること」
「シナリオの成功は学習者が目標を達成したか判断できるか否かで決まる」
「個人のシナリオとチームのシナリオは全く異なり、特にチームのシナリオは『タスク』ではなく、『チームワーク』を評価しなければならない」

2日間を通して、非常に充実したデブリーフィングを受けることで、多くの課題と改善点が見つかり、有意義な学びを楽しく得ることができた。ピッツバーグより Paul 先生(なんと日本に来るのは10年ぶりだとのこと)、ハワイより Berg 先生が来日いただき、2人の先生からデブリーフィングを受けることができた(こんな機会はめったにない幸運とのこと)。
2人の先生ともシナリオをみている際、大量にメモをとっており、それがデブリーフィングの材料となっていた(例えば Berg 先生は7分のシナリオ中に A4 2ページ分はメモされていた)。
Berg 先生いわく、「シナリオと同時にデブリーフィングは始まっている」とのことである。

最後に今回私たちのグループでつくったシナリオは、ほぼシミュレータを用いないものであった(チームのシナリオに至っては、実質ホワイトボードしか使っていない)。
勘違いしやすいと思われるが、シミュレーション教育は、シミュレータありきではない(この事は FunSimJ でも教えていただいた)。
(私のように)シミュレータに親和性が少ないと考えられる診療分野においても、シミュレーション教育が有効な教育手段であることは間違いない。
今後も医学教育に広くシミュレーション教育が普及するように私も微力ながらお手伝いさせていただければと思う。

iSIM-J に参加させてくださった総合臨床教育研修センターの髙橋先生、守時先生をはじめ、関係者の皆様方に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。