2020年に医師臨床研修指導ガイドラインが改正され、児童虐待が初期臨床研修の必修項目となりました。それを受けてコース構築を行い2021年より開始した本セミナーは、今回第3回目を迎えました。コロナ禍で始まったため、これまでオンライン開催となっていましたが、今回初の対面開催が可能となり、ワークショップを追加して二部構成で行うことができました。

第一部は本道40周年記念会館にてレクチャーを行いました。市立秋田総合病院小児科・BEAMS講師でもいらっしゃる米山法子先生より「虐待対応について基本的知識と組織・制度、早期発見のポイント」を、また東北大学法医学教室の美作宗太郎教授より「診察室・救急外来で法医マインドを持とう」の2つの講義があり、秋田県内初期臨床研修医80名、小児科専攻医、小児科専門医、看護師、医学生、他大学教員の見学を含め、総勢96名の方が受講されました。各施設で設置されている虐待対応組織とその連絡・対応方法、また早期発見のポイントとなる問診や所見など、証拠としてのカルテ記載や写真の撮り方と画像の取り扱いについて、実際の症例提示が含まれる中身の濃い内容のレクチャーでした。

第二部は、シミュレーション教育センターへ会場を移し、ワークショップ形式でロールプレイを行いました。初期研修医、小児科専攻医、看護師、計11名のご参加を頂き、「こどもから話を聞く」、「系統的全身診察」について学びました。二人ペアとなり医師役・子ども役を入れ替えてロールプレイで両方の立場を疑似体験しました。こどもから誘導せずにお話を聞くことの配慮の仕方、言葉の選び方、何も話してくれなかったときはどうしたらよいか、など実際に行って見たからこそわかる難しさやトレーニングの必要性など学習することができました。

本コースは年に一回、継続開催を続けていきます。初期研修医だけでなく、秋田県内医療施設の小児科や救急、総合診療部など児童虐待に関わる全てのスタッフの受講も受け付けています。

事後アンケートを参考に、さらに良いコースとなるように本セミナーを育てていければと思っています。

総合臨床教育研修センター(小児科専門医)岡崎三枝子