FunSimJ 参加報告書

秋田大学医学部附属病院
集中治療部1 佐藤博昭

 私は院内研修や自部署の勉強会などでシミュレーション教育を実施しています。これまでは、FunSimJ受講者に助言をいただきながらシミュレーション教育を実施してきましたが、シミュレーション教育についての体系的な教育を受講したことがないため、「なんとなくこんな感じ」という我流の方法で実施しており、教育を実施する側として自信がもてないことがありました。そのような中、自部署の看護師長からFunSimJへの参加を勧めていただき、あきた医師総合支援センターの補助をいただけたことで、R6年2月24日から2日間にかけてFunSimJに参加することができました。今回の研修では参加者が6名と少人数であり、また講師の皆さまがサポーティブに接して下さり、非常に濃密な研修を受けることができました。研修の中で様々な学びを得ましたが、特に学びが深かった3点を記載します。

 1点目は、学習者の気持ちを考慮したシミュレーション教育の実施の重要性です。今回のFunSimJでは受講者役を体験する機会があり、受講者の緊張感や不安感を実際に感じることができました。私はこれまで、受講者の気持ちを頭では理解しているつもりでしたが、感情データとしては理解が不足していたことに気づきました。また、受講者の不安や緊張を緩和するためには程よいアイスブレイクが必要ですが、一方で学習効果を高めるためには程よい緊張感も必要であるため、ブリーフィングの方法次第でシミュレーション教育の流れや理解度が変わるということを身をもって理解しました。

 2点目は、デブリーフィングの方法です。研修ではデブリファーの役を実施する機会があり、情報収集、分析、要約というGASの枠組みを用いてデブリーフィングを実施しましたが、受講者が上手く分析できなかったり、どのようにまとめたかったのか曖昧になってしまうことがありました。これは、受講者に適切な質問を投げかけることができていないことが原因であり、受講者自身が分析できるためにはどのような問いかけをするのか、ということを意識する重要性を理解しました。また、デブリーフィングのスキルを向上させるためには、デブリーフィングのデブリーフィング(メタデブリーフィング)を行うことが必要ですが、メタデブリーフィングができておらず、他の参加者も同様でした。デブリファーの質は学習効果に大きく影響するため、今後はメタデブリーフィングを行っていきたいと思いました。

 3点目は、研修設計についてです。グループ毎にオリジナルのシミュレーション研修を設計するという課題に取り組みました。そして、オリジナル研修のαテストとβテストを行いましたが、上手くできたところもあれば、上手くできなかったところがあり、特に目標の内容や表現は妥当か、オリエンテーションは十分か、評価項目やチェックリストは一般化できるかなどの研修の根幹になる部分は非常に頭を悩ませ、どうすればより良いシミュレーション研修になるのかを考えることができました。また、私はこれまで、シミュレーション教育単独で実施する教育方法が多かったのですが、ハワイ大学では、座学、シミュレーション教育、臨床実践という一連の流れで教育を実施していることを知り、シミュレーションは教育方法の1つであり、シミュレーションをどのように活用すると効果的な学習ができるのか、という視点で教育を設計してく必要があるということを学びました。

 今回FunSimJを受講したことで、自身が実施しているシミュレーション教育の改善点や工夫できる点を考えることができました。今回の研修で得たことを今後の教育に活かし、効果的なシミュレーション教育を実施していきたいと思いました。