平成27年度 女性外科医のためのキャリアシンポジウム
「The 7th Annual International Women in Surgery Career Symposium」参加報告書

秋田赤十字病院
乳腺外科 金暢々子

 2月26~28日women in surgeryに参加させていただいた。以前より蓮沼先生や以前参加された事のある先生に色々話を聞かせいただく機会があり、緊張と興奮が混ざり合うような気持でアメリカに向かった。

金Dr画像②26日 バスケ部の後輩である美里先生と会場入り。入口には自分の名札に貼るカラフルでポップなシールが置いてあった。会場には日本人の私たち2人のみで、後は全員アメリカの学生さんでした。お粗末ながら自己紹介を行い、面接の仕方や今後のキャリア、自分の目標やそれを達成する為にはどうしたらいいかなどを話し合った。

その後蓮沼先生やJAWSの冨澤先生、東京医科歯科大学外科の花岡先生とおちあい、ウェルカムパーティに出席。冨澤先生が私たちとともに主催者の方や、有名な先生方と会話する機会を作っていただき非常に光栄だった。

27日 1日盛りだくさんでとても刺激的な内容だった。朝食を食べつつ満席の中講義が始まった。演題のメインは、妊娠や出産、子育てなどをしながら、どのようにしてキャリアアップをし、奨学金返済を終えるかであった。ほとんどのアメリカの医学生は多額の奨学金を背負い医師を目指し、希望する科に行きたくとも成績順で決定する、また育児休暇や産休の制度はなく、すべて自分のnegotiationで決定するため、勉学に対してのモチベーションが日本と雲泥の差があり、非常に肩身が狭く感じてしまう場面が多々あった。日本の様にみんな平等に仲良くしましょうではなく、自分の事は自分でやる、やらなければならない為、講義を聞く学生は皆真剣そのものであった。その中でも音楽を流し皆踊りだす場面や、講師の子供が歌っている動画を流れたりなど、日本にはないほっとする時間もとても印象的であった。

昼は20チーム程に分かれ、昼食を食べながらの討論だった。私のチームは、2人は医師4年目でその他皆学生だった。このセッションが一番英語力のなさを痛感した時間だったが、アメリカの学生さんと直接話しあうことができた。隙あればメンターや講師に相談、質問をする姿勢や大勢の前でポスター発表をする学生さんの姿をみて、改めて自分自身で道を切り開く強い女性を感じた。

その後もストレスや休息の仕方、キャリアの変更や回復の仕方についてやbossy、燃え尽き症候群についてなど、様々なお題の講義を聞いた。中には未婚、離婚、既婚などに分かれ、それぞれの長所短所などをいうという日本では考えられない様な赤裸々な講義もあり非常に刺激を受けた。

金Dr画像③3日目最終日。研修医のブースに行った。どのように、どのタイミングで海外留学をすればいいか、どのようにして自分の地位を手に入れるかなど、数人の講師にどんどん問うスタイルであった。時間はあっという間に過ぎ、予定していた企画は少し残しつつ解散となった。

学会に参加し、もちろん英語力が低く聞き取れなかった事もたくさんあるが、一生懸命自分自身を磨く、切り開こうとする女性外科医、そして学生を目の当たりにし、背筋が伸びた気持になった。どうしても地域で医師不足が著明な場所では、女性外科医というポジションで何か問題が発生しても、どこか自分を甘やかし、他力本願で、環境のせいにする場面が少なからず自分にはあり、諦めてしまったり、問題視せず、なすがままの事があった。しかしそれは自分にとって勿論マイナスであり、今後育つであろう女性外科医師の後輩にも悪影響の可能性がある。少しずつ自分の感じるキャリアアップの障害や、あったらいいな、などの発想を大事にし、今後の女性外科医の将来展望が少しでも沸くような医師になりたいと思えた学会でした。

この度は南谷先生、蓮沼先生はじめ多くの先生方に本当にお世話になりました。百聞は一見にしかずです。今後はマイナー外科も含め、多くの女性外科の先生に参加し、感じる機会が増える事を願っています。本当にありがとうございました。

金Dr画像①


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