SimTiki研修を終えて

秋田大学医学部附属病院 2年目研修医 土田 英臣

研修医1年目の研修プログラム説明会の際、ハワイでの研修があると聞き元々興味を持っておりました。しかしコロナ禍の現在は海外で研修することなど叶わぬだろうと思い、半ば諦めの気持ちで研修生活を過ごしていました。今年になりハワイでの研修が3年振りに復活したと聞きすぐさま応募しました。理由としては、将来救急科に進むことを考えているため、シミュレーション教育の本場であるアメリカの救急トレーニングを受けてみたかったためです。私は英検やTOEICも受験経験もなく、海外旅行も英語圏へ行ったことないといった英会話に全く自信のない状態でしたが、ハワイ研修させて頂けるとことなりました。

研修内容ですが、場所はハワイ大学医学部にあるシミュレーションセンターでの研修でした。そこで脈や瞳孔径を再現出来るリアルなマネキンを用いた救急対応トレーニング、気管挿管や気管切開の練習、CV穿刺トレーニングを行いました。救急対応シミュレーションでは研修医が1チームとなって急変患者(マネキン)に対応し、その様子をビデオで録画、シナリオが終わった後に全員でビデオを確認するといった内容でした。振り返りのビデオではこの状況では誰が何の役割をしているか等を振り返り、より効率的に動くためにはどうすれば良かったのかを全員で話し合いました。医学的な知識よりもむしろ、チームとして誰がどの役割を担えば良いか、何の役割が必要なのか、どう声かけをすればよいかというマネジメントについて考えさせられる内容でした。シミュレーションのシナリオも実際の医療現場で起こりうる様な複数のプロブレムリストがあるような症例であり、チームリーダーが全てのプロブレムに対応しようとしても手が回らないといった場面が多々ありました。そのような状況では一人で考えるのではなく、コミュニケーションをとって役割分担し、1つ1つのプロブレムに対応していくことの重要性を実感しました。日本で受けてきた救急シミュレーションではプロブレムリストは1つでありそれに対して正しい医療行為が出来るか、という事に焦点が当てられていたため、今回の経験は新鮮であり勉強になりました。最初は自分が何の仕事をすればいいか分からない状態でしたが、シナリオをこなす内に周りを見渡してどう動けばよいかを考えられるようになったと思います。

コロナ禍のため、海外研修の実現は難しい状況ではあったかとは思いますが、このような貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。今回の研修に関わり、サポートして下さった皆様へ感謝申し上げます。この経験を今後の臨床に活かしていきたいと思います。

その他の参加者の報告書は、以下リンクからご覧ください。

”SimPLE”2022 研修報告①(五十嵐陽美先生)

”SimPLE”2022 研修報告②(五十嵐光汰先生)

”SimPLE”2022 研修報告④(髙橋勝大先生)